焙煎とマーケティングの実際 16

来店3回安定の法、10回固定の法

 私は珈琲豆売り店を営んでいるわけですが、この商いの大きな特徴としてリピート商売である、ということがあります。

 1回のお買い上げが1000円2000円、まとめて買われる方は5000円或はそれ以上になることもありますが、常連のお客様が1年2年〜10年、と月に1回2月に1回と繰り返し買ってくださるわけです。

 私はそんな関係に魅力を感じていてとても快適なんですが、商売が軌道にのるまでは、奇跡が起きて急にお客様が増えるなんてことはありえないので、(今でも同じですが)ひとりひとりのコーヒー好きな方と出会い、当店を贔屓にしてもらう、そんな繰り返しですから本当に地味なものです。

 それでも、今は口コミも多く、年数も経ってくると知名度も上がってきて始めての方にも信用していただき、ずいぶんと楽になりました。

 じゃぁ、開店した頃はどうだったか?

 自分では生意気にも自信たっぷりでしたが、そんな事をしっている人はどこにもいません。ましてや、店とも云えないガレージショップそのものですから。

 そこで意識してリピート、常連さんになってもらえるよう考えてきたのが「来店3回安定の法、10回固定の法」です。

 これは、船井流マーケティング手法で学んだことです。お客様が3回来店すると4回目5回目とリピートする可能性がアップする、10回来店すると固定客になる可能性が大である、というものです。

 ですから、始めてのお客様になんとか2回3回と来店してもらえるよう全力を尽くす。3回来てくれた方には10回来てもらえるよう全力を尽くす、そんなことを目標にしています。

 方法は勿論様々あって、どれが正解というようなものではないと思います。(学校の試験じゃないですから、予め正解が決まっているわけではないし、答えがひとつとは限りません。極端な話し、失敗し間違えたのがその処理に全力を尽くすことにより却って良い結果を生むことさえあります)

 私が基本的に行なっていることは、サンキューレターやDM、お名前を覚える、など誰でも知っていることばかりです。気を付けていることは、お客様と仲良くなる、なんでも質問や要望を云いやすい関係になる、お好みを知っている、、、、これも基本的なことです。

 特に、当店は来店が無い、一人、二人なんて云う宅配配達ばかりのちょっと変わった形なので、お客様とのコミニケーションをどうとるかが大きなテーマとなっています。電話や玄関先での短い会話、DMや毎月の価格表、ニュースレター、ホームページでの情報発信、お知らせ、そして「わくわく試飲会」の2時間かけたコミニケーション、少しずつの積み重ねですが大切にしています。却ってお店での接客が少ない分、コミニケーションを大切にしているので良かったのかもしれません。

 訳の分らない、信用できない人間が焙煎した珈琲ではほのぼ気分どころではありませんので、、、。

 開店当初からワンパターンでお約束しているのは、「もっと美味しく、安く、便利な店を目指す」ということです。

 そんなお約束を少しずつですが、実行してきて、国連豆とも出会いましたし、その凄い珈琲を非常識なまでに安い値段にすることも出来ました。

 そんな流れも常連さんのおかげで出来たことですし、リピート商売の良さが発揮されてると思ってます。いきなり今までの豆を取りやめて、聞きなれない珈琲ばかりにしてしまっても、トライしてくださる、驚くほど的確に評価してくださる、そんなお客様に恵まれているのもリピート商売の良さであり、いかにコミニケーションが大切かという証明でもあると思います。

 その根底にあるのが「来店3回安定の法、10回固定の法」という考え方なんです。

(1日に豆が20キロ30キロ売れるということは、うちのコーヒーを常連の皆さんが毎日2000杯3000杯飲んでいるってことで、これは大きな満足感がありますし、励みになります)

 
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