焙煎とマーケティングの実際 10

さかもとこーひーの焙煎(5

 今回は140℃から1ハゼまでの第2段階です。

 第1段階で蒸らしを済ませ、ここから1ハゼまでの焙煎スピードを厳密にコントロールしています。

 ダンパーは蒸気飛ばしが終わってから第1段階よりも少し開いてます。3キロで2.5/8、5キロで3/8、2キロで2/8です。
 ダンパーを開きすぎると排気が強く味、香りが抜けるようです。今はこのダンパー開度で落ち着いてます。(あくまでも当店の焙煎機の環境での話しです、全てテイスティングからの結果 です)
 蒸気飛ばしをしないで1ハゼまで蒸らしを続ける焙煎は味、香りにクリアーさが感じられず好きになれません。排気が強過ぎず、弱過ぎないように経験的に決めています。

 この段階は豆の水分を引き続きゆっくり抜きながらムラ無く焙いていきます。この焙煎スピードが早くても遅くても香り、味の出が悪かったり、抜けたりします。分りやすい欠点は雑味がでて、香りが弱いことです。(この雑味は豆が持っているものと、焙煎が悪くて出るものとありますが、慣れてくるとわかります)

 当店の深煎りシモサカで140℃〜1ハゼの標準時間が6.6分です。前後それぞれ0.2分に収まるようコントロールしてます。10℃毎に時間を測り前回の記録にあわせて誤差を調節してます。

 170℃になるとダンパーを3/8(3キロ)に開きます。2キロで2.5、5キロで4/8です。

 1ハゼ前のこの段階になると水分が大分抜けていよいよ乾熱調理の段階に入ります。色、香りがこうばしくはっきりと変わってきます。

 豆によってこの段階のスピードが6分〜7分位まで違いがあります。何の豆が何分位 かは何とも云えません。
 テイスティングによって決めてますし、1ハゼの時間も豆により違います。同じ豆でもニュークロップと1年経ち水分が抜けてきた状態でも調整が必要なこともあります。2キロと3キロ、5キロでも多少違います。
 一度決めた基準が絶対ではありません。長いスパンでは基準も変化していきます。

 当店の焙煎ではダンパー操作は決まっていて、焙煎スピードは火力でコントロールしてます。ダンパーによって蒸気、煙の排気の強さを決めて火力によって焙煎スピードを調節してます。この方法は万全ではなく、稀に予期出来ないブレがあり目を離せませんが他に良い方法が無いので集中することでこなしてます。

 応用としては、第2段階を平均した火力、スピードで行く場合と前半を弱めの火力、遅めのスピードで行き1ハゼ前に火力を強める場合などありますが、これもテイスティングの結果 から決めているので、どの豆がこうだとはなかなか云えません。

 次回は1ハゼからの第3段階です。

 
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